日銀のマイナス金利政策が16日、始まった。一部の大手銀行は市場からお金を調達するときの短期金利が大幅なマイナスになれば、企業向け貸出金利を0%まで下げる方針を決めた。三井住友銀行に続き、他の大手銀も住宅ローン金利を一段と引き下げる方向で、貸し出しと預金の金利がゼロに近づく異例の事態となった。資産運用が難しくなるというマイナスの影響も表面化しており、景気刺激効果がどれだけ出てくるのかが焦点となる。
貸出金利0%に接近
マイナス金利初日となった16日の東京金融市場では、金融機関がお金の貸し借りをする無担保コール翌日物金利が約10年ぶりに0.000%で取引が成立した。長期金利も、前日終値から0.045%低い0.040%となり、幅広い期間の金利が低下した。
日銀の黒田東彦総裁はこの日の衆院予算委員会で、マイナス金利政策について「金融機関の住宅ローンの貸出金利も下がっている。今後、効果が実体経済や物価に表れてくる」と述べた。銀行が企業に貸し出す金利は、市場金利に利ざやを上乗せして決めている。調達金利がマイナスになれば、金利ゼロで貸しても利益が出る計算だ。