総務省はタワーマンションなどの高層マンションを使った相続税の節税を防止する検討に入った。マンションの相続税の評価額はどの階層でも専有面積が同じなら変わらない。高層階ほど高い市場価格との価格差を利用した行き過ぎた節税が問題視されており、評価額を高層階ほど高くするよう見直す課税強化案が浮上している。2018年度にも適用する方向で調整する。
マンションの相続税を算出する際、建物は「固定資産税評価額」で評価し、専有面積に応じて一律に決まる。同じ床面積であれば階層や方角、眺望に関係なく、同じ評価額になる。
一方、マンションの市場価格は高層階ほど高く、評価額との開きが大きい。超高層のタワーマンションでは差がさらに開く。この乖離(かいり)を利用して、相続税の課税資産を圧縮する節税術が富裕層に広がっている。
例えば1億円の資産を持つ人は、資産をお金で持っていると相続時に1億円に相続税が課される。これに対し、市場価格が1億円で相続税の評価額が3600万円のタワーマンションの部屋を購入すれば、相続税は評価額の3600万円分だけにかかる。相続後に部屋を市場価格で売却すれば多額の差益を得ることができるわけだ。