経常収支の黒字、訪日外国人消費の取り込み鍵　さらなる上昇に東京五輪追い風 (1/2ページ)

　２０１５年の経常収支が１０年以来５年ぶりの高水準となったのは、訪日外国人の増加による旅行収支の大幅な改善など、貿易収支に代わる新たな「稼ぎ頭」が台頭してきたことが大きい。２０年の東京五輪開催を追い風に、観光などサービス分野で、訪日外国人の消費の取り込みをさらに加速できるかが、経常収支の黒字を、もう一段引き上げられるかの鍵を握りそうだ。

　旅行収支の５３年ぶりの黒字化を牽引（けんいん）したのが中国人観光客を中心とした訪日外国人の拡大だ。１５年は前年比約４７％増の１９７３万人と過去最高を更新した。これに伴い国内の百貨店や家電量販、ホテル、レジャーなどでの来客が増加。日本人が海外で使うお金より外国人が日本で使うお金の方が多くなり、旅行収支を大きく押し上げた格好だ。

　実際、日本百貨店協会によれば、１５年の全国百貨店の訪日外国人客は前年より２．６倍に拡大。その結果、免税売上高は１９４３億円と前年より１２００億円も増加した。同協会の井出陽一郎専務理事は「訪日外国人が大きく減ることは考えにくい」と見ている。

政府は今後、訪日外国人を年３０００万人に増やすことを視野に入れる