北陸新幹線の金沢-福井間の開業前倒しを検討してきた与党の委員会は28日、開業を2年前倒しして2020年度とする案について「可能性はある」とする報告書をまとめた。今後は政府・与党のワーキンググループでより専門的な検証に入り、年末の予算編成で詰めの作業を進めるが、「技術的に難しい」としてきた国土交通省には慎重論も根強く、先行きは不透明だ。
北陸新幹線は金沢-敦賀(福井県)間が当初予定から3年早めて22年度に延伸開業の予定だが、このうち金沢-福井間について先行開業させる案が地元経済界などから出ており、検討委で実現が可能か議論していた。
報告書では、技術的には工期の短縮が可能で、前倒しにかかる最大160億円程度の追加費用は入札方法の変更などで削減できるなどとして、2年の前倒し開業が可能と結論づけた。
一方、国交省は報告書を受けて、「(福井までを含めた)敦賀までのさらなる前倒し開業も検討する」との見解を発表し、検討に必要な調査費を来年度予算案の概算要求に盛り込む方針を決めた。しかし、技術・財政面でのハードルは高く、政治決着に持ち込まれる公算が大きくなっている。