旅行各社が3月に開業した北陸新幹線を利用して、目玉の北陸観光にとどまらない旅行商品の展開に注力している。北陸新幹線を他の新幹線や在来線と組み合わせることで、以前はなかったルートのツアーが実現できるようになったことが商機を広げている。以前は珍しかった北陸から東北に向かうツアーや、周遊型ツアーなどをてこ入れして、新たな旅行需要の開拓につなげようと狙っている。
日本旅行は、金沢や富山から北陸新幹線を利用し、大宮(埼玉県)で東北新幹線に乗り換え、福島や仙台に行く旅行商品を販売している。北陸から東北に向かうツアーは、以前は行きづらく時間もかかるため旅行客が少なかったが、「北陸新幹線の開業で利便性が高まったことで、申し込みが増えた」と担当者は話す。
実際、開業前だった昨年の同じ時期と比べると、北陸から東北に向かう同社の取り扱い旅行客数は4~6月が35%増、7~9月は約2倍と効果てきめんだ。
阪急交通社も北陸から大宮経由で東北の北部をめぐるツアーを発売。「ほぼ全ての日に北陸からの旅行客が参加している」と客層拡大に手応えを感じている。
周遊型ツアーも、北陸新幹線の開業で「以前はなかったルートを設定できるようになった」(旅行大手)ことで幅を広げている。