中国による日本製の一部鋼材に対する反ダンピング(不当廉売)課税措置が、世界貿易機関(WTO)の協定違反と認定された。課税の背景には、中国の「過保護」ともいえる産業政策があるが、対象となる鋼材は中国メーカーにはほとんどつくれない高性能製品。課税しても日本からの輸出はあまり減らず、その“ツケ”は最終的に中国企業に回る。競合していない他国製品に反ダンピング課税を繰り返す中国だが、「空回り」の感が否めない。
WTOは「クロ判定」
「日本の主張がおおむね認められた」。経済産業省の担当者は今回の認定をこう評価する。
認定は、WTOの1審に当たる紛争処理小委員会(パネル)が2月13日に公表した。日本は課税措置が不当として2012年12月にWTOに提訴。13年8月からパネルでの審理が行われていた。
課税措置の対象となる鋼材は高性能ステンレス継ぎ目なし鋼管と呼ばれる製品。この鋼材は石炭火力発電所のボイラーの配管として使用されており、日本からは新日鉄住金と神鋼特殊鋼管が中国に輸出している。