突然、煙が充満し、鼻をつく油の臭いが車内に広がった。30日午前、新横浜-小田原間を走行中の東海道新幹線「のぞみ225号」で発生した火災は、2人が死亡し、20人以上が負傷する惨事となった。「逃げろ」「火が出ている」。混乱の車内から命からがら逃げ出し、京都駅で降車した乗客たちが、恐怖の瞬間を振り返った。
「逃げろ」の叫び声
1号車の前から4列目に座っていたという横浜市の60代の女性は、リュックサックを担いだ小柄な男が通路を2~3回往復する様子を目撃したいう。事件発生当時の1号車はほぼ満席。男がデッキに出たときも「座るところがないので、デッキに座るのかな」と思っただけだった。
だがその直後、突然前に座っていたスーツ姿の男性が「逃げろ」と叫び、通路を走りだした。女性も何のことかわからないまま、夢中で逃げた。