2015.2.2 22:07
【ソウル=名村隆寛】離陸直前の大韓航空機を引き返させたとして、航空保安法違反などの罪に問われた同社前副社長の趙(チョ)顕娥(ヒョナ)被告(40)らに対する第3回公判が2日、ソウル西部地裁で開かれ、検察側は懲役3年を求刑した。
この日は、趙被告からナッツの出し方をめぐり罵倒されて暴行を受けた末に、引き返した旅客機から降ろされたという客室責任者の男性が、制服姿で証人として出廷。趙被告とは事件発生(昨年12月5日)以来の再会となった。
韓国メディアによると、男性は趙被告から機内で暴言を浴びせられ、暴力を受けたことを証言。「侮辱的であり、社員を奴隷のように見ているのではないか」などと非難した。事件後、趙被告や大韓航空からは一切、謝罪などがないことも明らかにした。
「要注意社員として大韓航空からマークされているようだが」との検察側の質問に対し、男性は「そんなことは何度もあり、現在もそうだ」と証言した。
男性は、「(趙被告は)他の乗務員と私にしたことを心から反省しなさい」と声を震わせたという。さらに、「私は一組織の単なる労働者として消耗品になるだろうが、私がこれまでの19年間、会社を愛した心や同僚らの思いを察してほしい」と涙を流しながら語った。
趙被告は男性が証言している間、一度も顔を上げなかったという。男性は事件後、欠勤を続けていたが、公判前日の1日、国内線への乗務により、約2カ月ぶりに職場復帰した。
裁判はこの日で結審する見通し。午後2時半に始まった公判は夜も続いた。