【ソウル=名村隆寛】韓国の航空会社、大韓航空の機内で、乗客として搭乗していた同社の女性副社長が客室乗務員のサービスに不満を抱き、離陸直前の旅客機を滑走路から引き返させたうえ、責任者を機内から降ろしていたことが判明。「越権行為ではないか」と批判が起きている。
聯合ニュースによると、問題があったのは5日未明、米ニューヨークJFケネディ空港から韓国・仁川(インチョン)空港に向かう機内。ファーストクラスで、大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョンア)副社長(40)が、客室乗務員からサービスのナッツを袋に入ったまま出され、「なんというサービスするの」と叱りつけた。
副社長は担当責任者を呼び、接客マニュアルで確認するよう命令したが、端末での検索に手間取ったため、機内から降りるよう命じた。その間、副社長は大声で叱責したという。
滑走路に移動していた旅客機は搭乗口に戻り、遅れて離陸。250人の乗客には遅延の説明がなかった。大韓航空では、客の意向を聞きナッツを皿に載せて出すのが規定、などと説明している。趙副社長は、大韓航空を傘下にする韓進グループの会長の長女で、機内サービスを統括しているという。