韓国南西部沖で4月に起きた旅客船セウォル号の沈没事故で、乗客を救助せずに脱出したとして殺人罪などに問われた船長のイ・ジュンソク被告(69)ら乗組員15人への判決公判が11日、光州地裁で開かれ、地裁はイ被告に遺棄致死罪などで懲役36年の判決(求刑・死刑)を言い渡した。殺人罪は認めなかった。
負傷した同僚を見捨てて逃げたとして殺人罪に問われていた機関長については殺人罪を適用し、懲役30年(求刑・無期懲役)を言い渡した。また遺棄致死罪などに問われていた1等航海士に懲役20年(求刑・無期懲役)、他の乗務員12人に懲役15~5年が言い渡された。
検察は求刑で、イ被告が船内待機を放送で命令し救助措置をとらず先に船外に脱出したとして、殺人罪の成立を主張。イ被告は「待機命令後、脱出命令の放送も流すよう乗組員に指示した」と主張し、乗客が死んでも構わないという「未必の故意」を否定していた。
判決は「検察の提出証拠だけでイ被告が乗客らを死亡させると認識していたとみるのは困難」とし、イ被告の主張を認めた。一方、機関長については「不作為による殺人」に当たるという判断を示した。