【佐藤優の地球を斬る】
韓国のソウル中央地検が8日、産経新聞社の加藤達也前ソウル支局長を朴槿恵(パク・クネ)大統領に対する名誉毀損(きそん)で在宅起訴した。1970年代、「停滞の時代」と呼ばれていた頃のソ連にこんなアネクドート(小話)があった。
言論弾圧国家に変貌
〈あるモスクワ在住の怠け者が、厳冬の3カ月間を刑務所で暮らすことを考えた。マイナス20度になるモスクワだが、刑務所には暖房があるし、黒パンと温かいスープが出る。刑法を調べると、「国家元首侮辱罪」が、懲役3カ月にあたると書いてあった。
そこで、この怠け者は、クレムリン宮殿の隣の「赤の広場」に行って、「ブレジネフ(ソ連共産党書記長)は、バカだ。あいつはクズで頭が悪い」と大声で叫んだ。「赤の広場」には常時、数十人規模のKGB(ソ連国家保安委員会=秘密警察)の私服刑事が監視をしている。この怠け者も叫んでから5分もしないうちに逮捕され、KGB本部に政治犯として連行された。