死者・行方不明者304人を出した今回の事故をめぐっては、朴槿恵(パク・クネ)大統領(62)が4月下旬、乗客の救助活動に当たらず真っ先に船を脱出した船長を念頭に、「殺人に等しい行為だ」と激しく非難。その後、検察当局が殺人罪での起訴に踏み切った。このため立証の難しい殺人罪での起訴は、朴大統領の意向に沿った措置とも指摘されていた。
昨年1月には、靖国神社に放火した後、在韓日本大使館に火炎瓶を投げて韓国で服役した中国人を、ソウル高裁が政治犯と認定。日韓犯罪人引渡条約に基づく日本への引き渡しを認めない判断を下している。このときは中国政府が韓国側に、日本へ引き渡さないよう要求していた。韓国司法が政府の意向に左右されやすいとされたケースだ。
ソウル中央地検は先月、朴大統領への名誉毀損(きそん)で産経新聞の加藤達也前ソウル支局長を在宅起訴した。これも大統領府が民事・刑事上の責任追及を明言した直後に、検察が加藤前支局長に出頭を要請するなど政治的側面が指摘されている。
27日に始まる公判では、韓国が法治主義に拠(よ)って立つ国家であるか否かを国際社会が見守っている。(ソウル 藤本欣也/SANKEI EXPRESS)