この評価が正当といえるのか。ムーディーズは02年5月、日本国債の格付けを一気に2段階引き下げ、上から6番目の「A2」とした。アフリカの途上国ボツワナ(当時A1)を下回る評価だったため、財務省は「経済のファンダメンタルズ(基礎的な条件)を考慮すべきだ」と反論した経緯がある。
三菱東京UFJ銀行の石丸康宏・経済調査室次長は「デフォルト(債務不履行)リスクの面からみれば、A1は低すぎる気がする」と疑問を投げかける。
日銀が金融緩和で大量の日本国債を買っているため、格下げ後も売り圧力が強まるどころか、品薄感が強いほどだ。
「格付けの信頼性はその程度。市場では重要視されていない」。嘉悦大の高橋洋一教授(財政・金融政策)はこう言い切った。