「私は一切マーケティングをしていない。自分が欲しいと思う酒を造ったのだ。このフェスティバルでは酒について語れる多くの人と出逢えてよかった。来年はさらに充実することを願っている」と期待を込めて話す。前述のジョー氏も「裸島は2年前のものと比べて格段によくなっており、個性がはっきりとでているので有望だ」と話す。
ロンドンを拠点に酒ソムリエとして活躍する菊谷なつき氏は、以下のように語る。
「まず、酒業界のプロではない1人のイタリア人がここまでのイベントを成し遂げたことに感嘆する。他のヨーロッパ各国と比べてもイタリアは酒市場として遅れているところがあるが、このイベントも現地での販売網拡充をアシストする方向にさらに進めば期待がもてる。ヨーロッパ全般でいえば、大吟醸のような高価格帯も大事だが、エントリーレベルで市場の拡大を図るべきだと思う」
主催者のマッサロット氏は来年のミラノ万博を好機とみて、今後の策を練り始めた。和食の普及と足並みを揃えながら、イタリア料理と一緒に楽しむ酒も積極的に提案していきたい、ということだ。
ヨーロッパの酒蔵は、ノルウェーに続き他国でも新規プロジェクトがあり、これから5年ぐらいの動きに目が離せない。
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ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『世界の伸びる中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih