専業主婦にしわ寄せ?
確かに女性に限らず、働く人が増えれば経済成長につながる。国内で生産される製品が増え、働いて得た収入が消費にまわりやすくなるからだ。なにより、少子化で先細りする働き手を補う人材の確保が大きな課題。
働く女性が増えれば、託児サービスや派遣業、キャリアアップのための資格ビジネスも拡大する可能性がある。企業にとっては、家族手当や社会保険のコストを減らしやすくなり、国の財政も助かる。
ただ、いざ主婦が働こうとしても、職場の現実は甘くはない。
社内託児所などがあるような立派な会社は、ほんのひと握りだ。子育てのために夫の仕事量を減らしてくれるような懐の深い会社は極めて限られる。正社員になる道は険しい。転勤がないことなど条件を増やせば、もっと道は狭い。
かくして、家計負担の増加に耐えられず仕事に就いた主婦は、パート労働の時間や掛け持ちをやりくりしながら収入をアップ。一方、時間のゆとりは減り、託児利用や外食の出費がかさむ-。そんな、暮らしの形の変化にも覚悟がいる。
専業主婦のいる世帯を狙い撃ちにした政策と引き換えに何が得られて、失うのか。その議論なくしては、「女性の活躍促進」の言葉も、財政再建と企業の儲け話に都合よく使われるスケープゴート(生け贄)探しの口実になってしまう。