企業の海外生産シフトの拡大も、輸出の伸びを抑えている。安倍政権発足前までの長引く円高で、国内製造業が海外生産シフトを加速。国内自動車8社の昨年の輸出台数は前年比2.8%減となり、日産自動車とホンダ、スズキの3社に至っては昨年の国内生産台数が100万台を割り込んだ。電機分野も、海外で生産したスマートフォン(高機能携帯電話)を輸入するケースが増え、輸出は増えにくい構図となっている。
低調な輸出は設備投資の伸び悩みにもつながっている。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「消費税増税で14年度の内需は減速しやすく、景気動向は良くも悪くも輸出次第となる」と指摘する。
アベノミクスの円安は、副作用として輸入物価の上昇を招いている。デフレ経済の特徴である名目成長率が実質成長率を下回る「名実逆転」状態が13年10~12月期は2四半期ぶりに解消された。