群馬県太田市では富士重工業の生産拡大が裾野産業にも波及してきた(写真はしげる工業の本社工場のインストルメントパネル生産ライン)【拡大】
一方、さくらリポートでは株高などを背景に、個人消費の判断が4地域で引き上げられた。だが、企業業績の回復に比べ賃金の改善は遅れ、アベノミクスを実感できない個人も多い。
「給料は減り、飲み代も減らしている。アベノミクスの実感はまったくない」。大手電機メーカーに勤める大阪府の男性会社員(43)はため息をもらす。
賃上げは一部
日銀が9日発表した生活意識アンケート(昨年12月調査)では、個人の景況感を示す指数はマイナス9.2で、前回9月調査から0.9ポイント悪化した。
さくらリポートでは「正社員の定例給与を改定して賃金を引き上げる動きは現時点では一部にとどまる」と指摘。所得増の中心はボーナスや残業代だ。厚生労働省によれば、11月の基本給などの所定内給与は前年同月と同水準で、10月までは17カ月連続でマイナス。賃金改善が遅れる個人は、景気の現状に慎重な姿勢を崩さない。
今春闘ではベースアップに前向きな大企業も多いが、賃上げの動きが中小企業や地方まで波及しなければ、本格的な景気回復にはつながらない。(万福博之)