運転が楽しいのに加えて、エンジン、ミッション、ハンドリングのすべてが扱いやすい特性を備え、なおかつどこも突出することなく絶妙にバランスしていることも美点だ。免許取りたてであっても、久しくマニュアル車を運転していないというドライバーでも、1時間も乗っていれば体に馴染んでくるだろうと思えるほど、懐が深い。マニア向けでなく、ごく普通の一般的な運転好きユーザーに向けた良い意味でイージーな仕上がりと言える。関心のある方は、ぜひマツダのディーラーで展開中の1日乗り放題キャンペーンを利用して長時間試乗してみてほしい。
オープン走行時の風の巻き込みと実走燃費についても簡単に触れておこう。風の巻き込みはS660よりも少なめ。外気温6℃程度の伊豆スカイラインを駆け抜けても、長袖シャツ1枚でまったく寒くない。シートヒーターも効きすぎるくらいで、途中でオフにしてしまった。冬本番でも上着を羽織れば問題なさそうだ。満タン法で計測した燃費はリッターあたり14.3キロ。山道では3500~5000回転を保って走っていたわりには悪くない。エコランに努めれば、リッターあたり18キロくらいはいくのでは。ちょっとしたエコカーだ。
クルマ生活を一変させる幌屋根
走りの楽しさと同じくらいこの新型ロードスターにとって重要な要素がある。それは手動開閉式の幌屋根だ。開閉の手順については添付の組写真を参照していただきたいのだが、非常に簡単。開けるのも閉めるのも慣れれば10秒とかからず、たぶん電動格納式ルーフより速い。信号待ちの間に座ったままサクッと開閉できる。この、サクッと気軽にできるところが大事。極力オープンにして走ろうという気になる。なぜって、いつでもすぐ閉められるから。たとえば、ちょっとコンビニに買い物に行く程度の短距離でも開けちゃおうと思える。だって、すぐ閉められるから。クドいようですが。今回の試乗でもどこかに駐車してクルマから離れる時を除いては、つまり走っている時はほぼ全部オープンだった。