【試乗インプレ】愛車ではなく、相棒と呼びたくなる一台 マツダ「ロードスター」で東伊豆を行く (5/8ページ)

  • 富士山が望めるはずの伊豆スカイライン・西丹那駐車場だったが、雲に隠れて山頂がほんのちょっとだけ…わかるかな?マツダロードスター
  • 往路、東伊豆の海岸沿い。これは伊東あたりだったか。海もよく似合う。マツダロードスター
  • 愛嬌のあった先代から一転、切れ長ヘッドライトのシャープな顔に。ヘビっぽいという声もあるみたい…マツダロードスター
  • テールランプに向かってキュッと絞られた「お尻」がリアフェンダーのボリューム感を際立たせる。右端から伸びたアンテナは、ねじ込みの着脱式。マツダロードスター
  • タイヤは前後とも195・50・16インチと、今どきのスポーツカーとしては細めで小さめ。マツダロードスター
  • これこれ!この角度!と言いつつ、写真だと伝わらないかな。ドアパネルからリアフェンダーにつながる曲面が美しい。マツダロードスター
  • 真横から見ると、座席と後輪の近さ、そして前輪が極力車体前方に配置されていることがよくわかる。このレイアウトが、クセになる独特の運転感覚を生み出す。マツダロードスター
  • 決して容積はけっして大きくはないキャビンだが、横方向は意外に余裕あり。何より室内高は無限大だ。マツダロードスター
  • シンプルでオーソドックスだからこそ、ストレスのない運転操作が可能になる。ハンドル、シフトレバー、パーキングブレーキ、そしてペダル類。手足を伸ばせば必要なものはすべてそこにある。これでいいのだ。マツダロードスター
  • 3眼メーター。真中はもちろん回転計。右下には6速マニュアル版でもシフトインジケーターが備わる。マツダロードスター
  • 純正インフォテイメントシステム「マツダコネクト」の液晶画面。視界を遮らず、視点移動も最小限で済む配置。マツダロードスター
  • エアコン調節はこちらもオーソドックスな3ダイヤル式。誰でも取説なしですぐ使える。マツダロードスター
  • 今どきのクルマらしく、USBのジャックを2つ装備。ハンズフリー通話、音楽データ再生などに対応。左側の蓋の中にはナビ用メモリカードスロット。少しぼやけて上に写っているのはシートヒーターのスイッチとインジケーター。マツダロードスター
  • 6速マニュアルの革巻きシフトレバー。短めのストロークで、剛性感よくカチッとシフトが決まって、なんとも気持ちいい。マツダロードスター
  • 「マツダコネクト」を操作するためのジョイスティック型コントローラー。下側の小さなつまみはオーディオボリューム専用。マツダロードスター
  • 試乗した上級グレードに標準装備のBOSE製サウンドシステム。ヘッドレスト内にもスピーカーを内蔵し、オープン走行時も快適リスニング。マツダロードスター
  • 自動防眩機能つきルームミラー。車高が低いクルマは、後続車がロービームでも結構眩しいもの。夜間走行には必須と言える。マツダロードスター
  • オルガン式アクセルペダルは“BeaDriver”を標榜するメーカーのこだわり。クラッチは軽めで、ミートポイントが分かりやすく、マニュアルシフトで運転するのが苦にならない。マツダロードスター
  • ドアパネル内側上部。美しい外観造形が室内からも垣間見えるパーツ。動物的な躍動感すら感じる。マツダロードスター
  • 剛性確保のため、敷居(サイドシル)はちょっと高いが、間口は結構広く、慣れればメタボでもスッと乗り込めます。マツダロードスター
  • グローブボックスはダッシュボードではなく左右座席間に。問題はその下のカップホルダー。カップを手にとる都度、アクロバティックな体勢を強いられる。マツダロードスター
  • 蓋を開けると、ティッシュの箱が縦に入る奥行き。容積としては十分だろう。マツダロードスター
  • 左右背もたれの後ろにも蓋付き収納スペース。運転中は使えないから、頻繁に出し入れしない小物向き。下にはETC用カードスロット。防犯用には鍵付きであってほしいところだが…マツダロードスター
  • 幌屋根の開閉は手動ながら、座ったままとても簡単でスピーディーに可能。折りたたまれて収納された屋根をレバーでリリース→取っ手に手をかけ前方へ引き出す→中央のフックをフロントガラス上端の金具に引っ掛けて→次写真へ(右上のボタンで拡大してご覧ください)マツダロードスター
  • 前写真からの続き→バチンとレバーを閉めて固定。開けるときはこの逆。操作に慣れると、開閉ともに10秒もかからず、電動より速い。これぞグッドデザイン(右上のボタンで拡大してご覧ください)マツダロードスター
  • ボンネットを開けてエンジンとご対面。マツダロードスター
  • 1.5リッターでターボなし。馬力もトルクも小さいが、1トンの軽量ボディとベストマッチ。レスポンスよく、素直に伸びあがる扱いやすい出力特性で乗る人を選ばない。マツダロードスター
  • 左横から。エンジンが前輪の軸より後ろ、つまり車体中央寄りに配置されていることがわかる。重量のある部品を車体中央に集めて走行性を高めている。マツダロードスター
  • 今度は右から。軽量化に貢献するアルミ製のシリンダーカバー。マツダロードスター
  • 燃料はプレミアムガソリン指定。マツダロードスター
  • 深さがあり意外と容量の大きいトランク。キャリーバッグ2つは入りそう。2人乗り3泊くらいまでならOKでは。マツダロードスター
  • 開口部が高いので重い荷物の出し入れには難あり。剛性確保を優先した設計だろうから、ここは我慢のしどころか。マツダロードスター


 途中、小休止をはさみながら城ヶ崎海岸に到着したのは都内を出発してから6時間ほど経過した頃だった。移動距離なりの体の疲れはあったが、腰や足など特定の部位が痛むようなことはなく、最初に座った時は少しサポート不足に思えたシートが、体を適切にサポートしてくれていたことがわかった。

 さて、2日目は山坂道の伊豆スカイライン。東京へと戻る午前の上り路線だったから、渋滞はなし。交通量も少なめで、思う存分アクセルを踏み込むことができた。ハンドル操作にも敏感すぎることなくほどよく反応し、半径の小さいカーブでもハイスピードで軽々と抜けていく。そうして左右に振り回していると、本当にこのクルマの軽さ(車重の軽さと、軽快な運動性能の両方)がよくわかると同時に、クルマとドライバーである自分の一体感を強く感じることができ、どんどん楽しくなってくる。

 ワインディングで右に左に、と頻繁にハンドルを大きく切り続けていて、このクルマ独特のある感覚に気付いた。自分の胴体(と言うか頭)を中心に、つま先だけが向きを変えるような感じで曲がっていく。やや極端に言うと、回転椅子に座って左右に体を回しているような感じでクルマが向きを変えていくのである。これは車輪と座席のレイアウトが起因している。真横から撮影した画像を見ていただくとわかるが、座席のすぐ後ろに後輪がある。対して、前輪は、重量配分の要求を満たすために極力車体の前方に配置されている。旋回軸である後輪とドライバーの頭はほぼ同位置にあるから、ハンドルを切る度合が大きいほど、自分の頭を中心に旋回していく感覚は強く伝わってくる。実は前日の往路でも、交差点を曲がる時に、普通のクルマと違う感覚を覚えて、「これは何だろう」と引っかかっていたのだが、伊豆スカイラインの休憩所で真横から車体を見たときに初めて合点がいった。この独特の旋回感も、ロードスターの運転が楽しくなる要素の一つだ。

一般的な運転好きユーザーに向けたイージーな仕上がり