途中、小休止をはさみながら城ヶ崎海岸に到着したのは都内を出発してから6時間ほど経過した頃だった。移動距離なりの体の疲れはあったが、腰や足など特定の部位が痛むようなことはなく、最初に座った時は少しサポート不足に思えたシートが、体を適切にサポートしてくれていたことがわかった。
さて、2日目は山坂道の伊豆スカイライン。東京へと戻る午前の上り路線だったから、渋滞はなし。交通量も少なめで、思う存分アクセルを踏み込むことができた。ハンドル操作にも敏感すぎることなくほどよく反応し、半径の小さいカーブでもハイスピードで軽々と抜けていく。そうして左右に振り回していると、本当にこのクルマの軽さ(車重の軽さと、軽快な運動性能の両方)がよくわかると同時に、クルマとドライバーである自分の一体感を強く感じることができ、どんどん楽しくなってくる。
ワインディングで右に左に、と頻繁にハンドルを大きく切り続けていて、このクルマ独特のある感覚に気付いた。自分の胴体(と言うか頭)を中心に、つま先だけが向きを変えるような感じで曲がっていく。やや極端に言うと、回転椅子に座って左右に体を回しているような感じでクルマが向きを変えていくのである。これは車輪と座席のレイアウトが起因している。真横から撮影した画像を見ていただくとわかるが、座席のすぐ後ろに後輪がある。対して、前輪は、重量配分の要求を満たすために極力車体の前方に配置されている。旋回軸である後輪とドライバーの頭はほぼ同位置にあるから、ハンドルを切る度合が大きいほど、自分の頭を中心に旋回していく感覚は強く伝わってくる。実は前日の往路でも、交差点を曲がる時に、普通のクルマと違う感覚を覚えて、「これは何だろう」と引っかかっていたのだが、伊豆スカイラインの休憩所で真横から車体を見たときに初めて合点がいった。この独特の旋回感も、ロードスターの運転が楽しくなる要素の一つだ。