内装のデザインは、シンプルでオーソドックス。試乗車はレザーシートをおごった上級グレードだったが、チープではないものの、格別質感が高いという感じはしない。もっとも、ホンダ・S660と同じで、走り出したら運転に夢中になって内装にはあまり目がいかないから、こういうクルマは使い勝手のほうが重要だ。運転に必要な基本機能は、とても使いやすくデザインされており、自然に手を伸ばせばそこにレバーやスイッチがあるという理想的な配置。おかげで運転操作のストレス皆無なのは、さすが4代目、熟成の域という感じ。
初めてこのクルマに乗るという人でも、普通に走らせるだけなら、恐らくは何ら説明を受けずとも運転できてしまうだろう。そのくらい良い意味で原始的な、自動車の基本に忠実なデザインである。
シフトレバーの手前にジョイスティック式のコントローラを備えたナビ、3連ダイヤル式のエアコンも、直感的に使えてストレスなし。
一方で、収納に関しては配置が独特。結論から言うと使いづらい。まず、助手席ダッシュボードにグローブボックスがない。代わりに鍵付き収納スペースが左右座席背もたれの間にある。ちょうどティッシュの箱が入るくらいの奥行があり、容量としては十分だが、何ぶん座ったままでは体をひねらないと出し入れできないのが厳しい。実は左右背もたれの後ろにももう少し小さい蓋付き収納スペースがあるが、これは座っている間は出し入れできないので、用途を選ぶ。さらに最悪なのはカップホルダー。この配置がセンターコンソール最後端、つまりドライバーの左ひじのさらに後ろあたりなのだ。これはどうにも使いづらい。座ったまま飲み物を出し入れするには、上体を大きくひねって右手でとるか、サウスポーよろしく左手だけ後ろにそらせて逆手でボトルネックをつかむかしかない。いずれにしても、無理めの体勢を強いられる。蓋付きの容器でなければ遠からず中身をシートにぶちまけそうな予感がする。助手席の人にいちいち出し入れしてもらうのもなんだか違う。運転の邪魔にならずにスペースを確保するには、ここしかなかった事情は一見してすぐわかるものの、それにしても…。オプションで助手席足元に飛び出す形で取り付けるカップホルダーもあるが、助手席の人にとっては邪魔くさい突起になってしまう「ぼっち乗り」専用装備と言える。