ハマる!独特の旋回感 懐深く扱いやすくエンジン
冒頭に書いたとおり、今回は2日がかりの試乗。初日は小田原から伊豆半島東海岸沿いに城ヶ崎海岸まで、2日目は内陸へ入り、伊豆スカイラインを箱根峠まで駆け抜けた。
名物・河津桜のシーズンとあって、下りの初日はところどころ激しい渋滞に巻き込まれた。1.5リッターターボなしのエンジンだが、数値から受ける印象と違って、十分にトルクフル。2速発進もいけるし、1500回転前後を保ったエコランも可能なほどだ。それでいてレスポンスもよく、強めにアクセルを踏み込めば、自然吸気エンジンらしくリニアに回転数が上がっていく。爆発的な加速力はない代わりに、素直な出力特性が、コントロールしやすく、軽めでミートポイントのわかりやすいクラッチ、剛性感が高く、短めのストロークでカチッとシフトが決まる6速マニュアルミッションと相まって、クルマと対話しながら操っている感覚で満たされる。実際にはさほどスピードが出ていなくても、低い着座位置が疾走感を増幅させる。このスポーツカーとしては非力なエンジンが、ロードスターをここまで軽快に走らすことができるのは、グレードによっては1トンを切る軽量設計が大きく貢献していると思われる。
渋滞の最後尾についた時、“苦行”のマニュアル操作を覚悟したものの、特に左足が疲れるようなこともなく、多少シフト操作をさぼっても、懐の深いエンジンの特性もあって問題なく走れてしまい、拍子抜けするくらい楽ちん。AT限定免許でなければ、敢えてAT仕様を選ぶ意味はないだろう。たしかに面倒は面倒なのだが、渋滞路であってもシフトがスコスコ入る楽しさのほうが勝ると思う。