音楽を演奏する場合、ソロ以外は基本的に音楽家同士のアンサンブルとなる。その中でも、デュオというのは最小限の編成だ。最小限だけに、それぞれの役割は大きくなると同時に、親密な空気感が生まれてくる。そこがデュオの醍醐味(だいごみ)であり、楽器の組み合わせやアレンジの妙だけでも、無限の可能性がある。今回は、最近気になった2組のデュオを紹介しておきたい。
優しく美しい
まずは、アフリカとヨーロッパの巡り合いを楽しんでもらおう。西アフリカ・マリ出身のバラケ・シソコは、コラという弦楽器の奏者。彼が音楽フェスで意気投合したのが、フランスのチェリストであるバンサン・セガール。自然と2人でデュオを組もうという話になり、4年の月日をかけて完成させたのが、2009年発表のアルバム「チェンバー・ミュージック」だ。ヨーロッパを中心に大きな話題となり、コンビは一躍、世界的に注目を浴びることになった。
そして、待望の2作目が、今回発表された「夜の音楽」。前作のスタジオ録音に対し、今回は、何とシソコの自宅屋上で半数の曲をレコーディング。ヤギの鳴き声なども耳に入る環境を“味方”に付け、コラとチェロが仲良く寄り添うような演奏は、とにかく優しく美しい。夜更けにしんみりと聴いてみたくなる1枚だ。