ここ最近のアフリカ音楽は、本当に面白いので、今回も取り上げたい。アフリカはひとくくりにするにはあまりにも大きすぎる。だが、その分、バラエティーの豊かさにも驚かされる。そして、アフリカの音楽というと、リズミカルで朗々と歌うイメージが強いかもしれない。しかし、僕が最近注目しているのは、繊細でナイーブな作品を作り出すアーティストだ。ここでは、注目の2人を紹介したい。
クラシックに近い印象
まず、カメルーン出身のシンガー・ソングライター、ブリック・バッシー。彼の音楽は本当にユニークだ。ギターを弾きながら歌うシンプルなスタイル。声を張り上げることもなく、素朴な口調なのだが、これがかえって強いインパクトを与える。
彼を支えるミュージシャンも興味深い。新作アルバム「アコ」は、アフリカ特有のパーカッションの類いは聞こえてこない。チェロやトロンボーンなど、一風変わった楽器が使われるのだ。バックの演奏だけだと、ポップスでも、アフリカンでもなく、「クラシック」の室内楽に近い印象だ。