先日、とある仕事でキューバに行ってきた。わずかな滞在時間で改めて感じたのは、この国の音楽は生活と密着しているということ。子供からお年寄りまで自然に同じ音楽を聴いているし、石を投げればミュージシャンに当たるというくらい、街中に音楽があふれている。だからこそ、これほどまで世界水準の音楽家が続々と生まれるんだなぁ、と納得した。
新人からベテランまでさまざまなシンガーやミュージシャンが存在するが、今回はそんなキューバのジャズにスポットを当ててみよう。
弱冠22歳の才媛
まずは、期待のニューカマー、ダイメ・アロセナ。彼女は、弱冠22歳のジャズシンガーだ。10代からプロとして活動し、歌うだけでなくソングライティングやコーラスアレンジも手がける才媛。英国のDJであるジャイルス・ピーターソンに見初められ、彼のハバナ・カルチュラというプロジェクトに参加。一躍、ヨーロッパのクラブシーンでもその名を知られるようになった。デビュー作「ヌエバ・エラ」も期待を全く裏切らない出来栄え。神秘的なハーモニーで構築されたオープニングから、クールでジャジーなテイストや、躍動感に満ちたラテンナンバーまで、七変化の歌声を聞かせる。