国連教育科学文化機関(本部・パリ、ユネスコ)は9日(日本時間10日未明)、世界記憶遺産に、日本が申請した大戦後のシベリア抑留の関連資料と国宝「東寺百合文書(ひゃくごうもんじょ)」の2件を登録したと発表した。この2件は「歴史的に貴重な資料」と公式に認められ、保存されたデジタルデータが一般公開されることになる。日本の記憶遺産はこれまで登録済みの3件を含め計5件となった。
また、中国が申請した「南京大虐殺文書」も登録された。内容は当時の日記や写真、旧日本軍の戦争犯罪を裁いた南京軍事法廷の記録文書などとされる。中国は国際機関の“お墨付き”を得たとして、歴史認識問題で日本への攻撃を強めるとみられる。中国が申請していた「慰安婦関係資料」は登録が見送られた。
菅義偉(すが・よしひで)官房長官は10日、「南京大虐殺文書」の登録について「わが国の懸念がユネスコ関係者に十分理解されず登録されてしまったことは極めて遺憾だ。わが国として、ユネスコ事務局との協力のあり方について見直しを検討しなければならない」と述べた。「(記憶遺産の)政治利用を未然に防ぎ、公平性や透明性が確保されるよう改善を強く求めていく」とも語った。都内で夕刊フジのインタビューに答えた。