内閣の顔ぶれも一新された永田町で、新たな“政局の芽”として浮上しているのが環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉をめぐる議論だ。自民党は8日、交渉参加12カ国による大筋合意を受けた党内協議を始めたが、政府側の説明不足への不満や、影響を受けるとみられる農業や畜産業への不安が続出。野党・民主党も批判を強めている。来年夏の参院選を見据え、秋のTPP政局が過熱しそうな雲行きだ。
甘利氏報告にピリピリ
自民党本部で8日開かれた外交・経済連携本部、TPP対策委員会などの合同会議は、衆参両院議員約100人が出席し、ピリピリとした雰囲気に包まれた。
「これまで一切出てこなかった」
甘利明(あまり・あきら)TPP担当相(66)の説明に耳を傾けていた野田毅(たけし)税制調査会長(74)は、政府への不満を口にした。今回の合意内容に果樹の関税撤廃が含まれていることが明らかにされたからだ。
これをきっかけに、若手からも批判が続出。「地元で『ウソをついた』という言葉をぶつけられた」(長峯誠参院議員)、「参院選が大変な結果にならないか心配だ」(古賀篤衆院議員)…。TPPが影響を与える額を早期に試算し、国内対策を講じるべきだとの声も複数挙がった。