安倍晋三首相(61)は6日、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉が大筋合意したことを受けて官邸で記者会見を行い、「国会の承認を求めるまでの間に政府全体で責任を持って国内対策をとりまとめ、万全の処置を講じる」と述べ、関税引き下げによる影響を最小限に抑える考えを強調した。来夏の参院選をにらみ、農業分野を重点的に検討する考えだ。
首相は全閣僚が参加する総合対策本部を設置することも正式に表明。交渉結果について「日本が積極的にリードすることで国益にかなう最善の結果を得ることができた」と説明し、「日本と米国がリードしてアジア太平洋に自由と繁栄の海を築き上げるTPPが大筋合意した」と評価した。「世界経済の4割近くを占める広大な経済圏が生まれる。その中心に日本が参加する。TPPはまさに国家百年の計だ」と訴えた。
「聖域なき関税撤廃を前提とした交渉には参加しない」とした自民党の公約に関しては、「関税撤廃の例外を数多く確保した」として「しっかり守ることができた」との認識を示した。TPPに参加していない中国については「将来的に参加すれば、わが国の安全保障にも戦略的にも大きな意義がある」と指摘した。