対中包囲網に慎重
ASEAN最大の経済規模を誇るインドネシアは今後、TPPに参加すべきかを慎重に見極めるとみられる。ジョコ大統領は昨年「国民にどのような利益があるか熟慮する必要がある」と発言。国内には急激な市場開放よりも、自国産業の国際競争力の強化を優先すべきだとの意見は根強い。
ただ「バスに乗り遅れる」として参入を本格検討すべきだとの声もある。
TPP交渉参加を表明したインラック前政権が昨年クーデターで倒れたタイは、暫定政権のプラユット首相が「(TPPは)タイの利益を損ねる」と述べるなど、農業などの保護を理由に不参加に転じた。
また、ある政権幹部は「タイは米国と中国の間でダンスを踊らなければならない」と、米国主導の対中包囲網の性格を持つTPP参加に慎重な理由を説明する。
政権幹部は「ASEAN域内で、2つの超大国間のバランスを考えない国はない」とも述べ、アジアインフラ投資銀行(AIIB)や現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国が、アジアへの影響力を日増しに強めている現実を指摘した。(共同/SANKEI EXPRESS)