国民に広く負担を求める医療保険制度改革法が27日の参院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。赤字体質が続く国民健康保険(国保)の運営主体を2018年度に市町村から都道府県に移し、規模を大きくして財政基盤を安定させるのが柱。75歳以上の後期高齢者医療制度を支えるため、大企業社員や公務員の負担を増やす「総報酬割」を17年度に全面的に導入する。
国保には自営業者に加え、所得の少ない年金生活者や非正規労働者らが加入している。保険料収入が少ない一方で、医療費が高く慢性的な赤字体質が続いている。このため、国は都道府県への移管とともに、17年度以降、毎年3400億円を国保に投入する。
その財源を確保するため、大企業の健康保険組合や公務員の共済組合の負担を増やす。具体的には後期高齢者の医療費を支える支援金の算定方式を変更し、今年度から所得に応じた「総報酬割」で算出する割合を広げ、17年度に全面導入する。この影響で大企業社員らの保険料は上がる見込みだ。
患者関連では、紹介状なしで大病院を受診した場合は、5000~1万円の自己負担を求める。また、入院時の食事代(現在260円)を、低所得者らを除き18年度から460円に値上げする。