政府は14日の臨時閣議で、自衛隊の役割を大きく変える新たな安全保障法制の関連法案を決定した。歴代政権が禁じてきた集団的自衛権行使の限定容認を含んでおり、戦後の安全保障政策の歴史的転換に踏み切る内容だ。安倍晋三首相(60)は閣議後に記者会見し、北朝鮮による核・ミサイル開発などを挙げ「厳しい現実から目を背けることはできない。日本人の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う」と法制化の必要性を強調した。政府は15日に法案を衆院へ提出し、今月下旬から与野党の論戦が本格化する。
米戦争「巻き込まれない」
法案は自衛隊法や武力攻撃事態法、周辺事態法、国連平和維持活動(PKO)協力法など10法の改正案を一括した「平和安全法制整備法案」と、国際平和のために活動する他国軍の後方支援を随時可能とする新法「国際平和支援法案」の2本。
首相は集団的自衛権を行使すべき事態について、「日本近海で米軍が攻撃される状況は人ごとではない。私たち自身の危機だ」と指摘。「日本が危険にさらされたときには日米同盟が完全に機能する。そのことを世界に発信することで抑止力はさらに高まり、日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなる」と述べ、安保法制の整備によって、さらに強固な同盟関係を構築する意義を強調した。