反対活動の資金を集める基金創設や翁長氏の訪米計画も世論戦の一環だが、成算があるわけではない。岩礁破砕許可と埋め立て承認の取り消し処分を行っても行政不服審査で処分の効力は失われる見通しで、それを不当だと世論に訴えても「公正な判断」という政府の反論に押し返される。
そこで浮上しているのが移設の是非を問う「県民投票」。法的拘束力はないが、来年2月の宜野湾市長選の直前に行い、移設反対に向けた求心力を高めた上で移設容認の現職市長の再選を阻み、「宜野湾市民も辺野古ノー」との世論戦につなげる算段だ。(半沢尚久/SANKEI EXPRESS)
■沖縄の基地問題 国土面積の0.6%しかない沖縄県には在日米軍専用施設の約74%が集中している。日米両政府は2013年4月、普天間飛行場(宜野湾市)を含め、嘉手納基地より南にある米軍施設・区域の返還計画に合意した。6施設・区域の計約1048ヘクタールを13~28年度以降に順次返還する計画だが、名護市辺野古移設を前提とする普天間など、大半の施設・区域は県内移設が条件。政府は沖縄の負担軽減策として、新型輸送機MV22オスプレイの訓練の県外移転などに取り組んでいる。