林芳正農林水産相(54)は30日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古移設で、海底ボーリング調査などの作業停止を求めた沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事(64)の指示について効力を一時的に停止すると決定した。作業を停止すれば工事が大幅に遅れ、普天間飛行場の危険性除去と日米両国の信頼関係に「回復困難で重大な損害が生じる」との判断を示し、防衛省の主張を全面的に認めた形だ。
翁長氏は、防衛省が辺野古沖に設置したコンクリート製ブロックが岩礁破砕を許可した区域外でサンゴ礁を傷つけたと問題視。移設作業を停止しなければ岩礁破砕許可を取り消すことがあると警告していたが、指示の効力停止を受け、許可の取り消しは当面見送る。
防衛省の執行停止の申し立てに対し、翁長氏は作業を停止させなければブロックによるサンゴ礁の損傷を確認するための県の調査が行えないと主張したが、林氏は「執行停止で調査ができなくなるとは必ずしも認められない」と退けた。