日本軍の呼称=抑止強化
ところで、世界で《自衛隊》と称する国軍は皆無。一部は《国防軍》《防衛軍》を名乗るが、主流は《国名+軍》。英語の「自衛」とは個人の護身といった意味合いが強く、国家を守護するのなら「国防」「防衛」である。ところがわが国は「国防」「防衛」より弱々しさを醸し出す「自衛」と名付けた。さらに「軍」を構成する一単位で、小規模を印象付ける「隊」とすることで自衛隊をひねり出した。自衛隊の英語名を直訳すれば《日本自衛軍》となるが、この点でも矛盾をはらむ。
保守系の議員や団体の勉強会で、小欄は「憲法改正後の改名は、自衛軍と防衛軍のどちらが良いか?」と度々聞かれる。そして、毎回こう聞き返す。
「日本(にっぽん)陸軍、日本海軍、日本空軍ではダメなのか?」
安全保障分野で合理性なき自制を重ねると、敵性国家はその分凶暴になる。逆に日本陸海軍の名乗りは、人民に銃口を向けるくせに“人民解放”軍を詐称する上から目線の隣国を萎縮させ、抑止力強化に資する。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)