中国人民解放軍は装備や教育・訓練、運用といったあらゆる面で進化を加速させている。中国が滅亡を免れているのなら、後世から見て2015年は重要な改革年に位置付けられるかもしれない。明治二十七八年戦役(日清戦争/1894~95年)開戦120周年だった14年、中国では、軍関係者が日清戦争敗戦より数々の戦訓を引き出し、珍しく冷静・合理的に分析・検証を重ねた。いよいよ15年は、戦訓を実行に移す初年となるのだ。しかし、民族性と、民族性が染める軍の文化、直截的に言えば「将兵の質」は簡単に変えられぬ。あえて長所を絞り出せば、中国軍将兵の脚力は評価に値する。朝鮮半島中南部で行われた日清戦争最初の主要陸戦《成歓の戦い》でも、脚力を存分に発揮した。ほぼ互角の投射戦力にもかかわらず、死傷者は日本88名に対して清国500名以上。武器を投げ出し、はるか北西の平壌まで、絵に描いたような潰走を披露した。
加えて、哀れなのは敗戦120周年の今年、引き続き安倍晋三氏(60)が首相の座に居る残酷な現実。成歓の戦いでは、大日本帝國陸軍の大島義昌少将(後に大将/1850~1926年)が指揮を執った。大島大将は、安倍氏の祖母の、そのまた祖父に当たる。中国は、恫喝をはね返す目障りな安倍氏を一層嫌いになったことだろう。