≪石を積めて一人前 欠かせぬ守る技≫
起伏に富んだリアス式海岸が織りなす景観が魅力の愛媛県宇和島市の三浦半島。海沿いの道路を走ると、港の先に、緑のストライプに彩られた丘が広がる。「日本農村百景」の一つ「遊子水荷浦(ゆすみずがうら)の段畑(だんばた)」だ。高台に登ると緑とグレーのコントラストが“等高線”のように見えた。
春の息吹が感じられるようになった3月、青々と茂ったジャガイモの葉が畑を埋め尽くす。収穫が近づくにつれて、葉は少しずつ枯れ始め、緑から黄色に色を変える。この丘に“緑の等高線”が描かれるのは、2月から3月に限られる。
観光客のために整備された遊歩道から段畑を見上げた。ごつごつとした小さな石が隙間なく積み上げられて、高さ1メートルほどの石垣となる。石垣と石垣の間には幅1メートルの畑があり無数のジャガイモが栽培されている。
明治末、段畑の面積を増やそうと半島近くの島の岩を崩し、高さ約80メートルまで積み上げたという。