2014年に世界を駆け巡った数多くのニュースのなかで、国際秩序を最も揺るがせたのは、イスラム教スンニ派の過激派が6月にイラクとシリアに樹立した「イスラム国」の台頭だった。
イスラム国の侵攻で住居を追われ、イラクの街シンジャルからシリア国境付近に逃げてきたヤジディの少女。ヤジディは独自の宗教を持つ少数民族で、これまでクルド人地域に暮らしてきたが、キリスト教徒などとともにイスラム国から異教徒として迫害されている。国連は少女を含むヤジディやキリスト教徒の女性数百人がシリアで兵士らに報酬として与えたり性的奴隷として売却されたりしていると報告している。
≪逃げ惑う少数民族≫
シリア国境に近いイラクの街シンジャルの周辺を逃げ惑うヤジディの女性と子供たち。原油の密輸や一部産油国の支援で活動資金を調達し、イスラム過激派にイラクの旧フセイン政権の軍関係者が合流したイスラム国は強い軍事力を持ち、瞬く間に勢力を拡大した。