今年3月8日に乗員乗客239人を乗せてマレーシアのクアラルンプールから北京に向けて飛び立った後、忽然(こつぜん)と姿を消したマレーシア航空370便について、航空会社のトップを務めた経歴を持つフランスの著名作家が、「米軍によって撃墜された可能性が高い」との説を唱え物議を醸している。テロリストが遠隔操作で乗っ取り、インド洋に浮かぶディエゴガルシア島の米海軍基地に自爆攻撃を仕掛け、撃墜されたというのだ。これまでもさまざまな“陰謀説”が唱えられてきたが、いまなお何の手がかりも発見されておらず、航空機史上最大のミステリーをめぐる謎が謎を呼んでいる。
エールフランスで要職
米軍撃墜説を唱えているのは、マルク・デュガン氏(57)。今月18日に発売されたフランスを代表する週刊誌「パリ・マッチ」が6ページの特集を組み、英高級紙のインディペンデントなどの複数の欧米メディアも伝えた。
デュガン氏はエールフランス航空で要職を務めた後、プロテウス航空のトップに就いた。一方、1998年に小説「士官の部屋」で仏ドゥ・マゴ賞を受賞し、綿密な取材に基づくノンフィクション「FBIフーバー長官の呪い」や「沈黙するロシア-原子力潜水艦沈没事故の真相」などで知られる。