こうした戦略の模索と、脅威認識の強まりの背景には、イラクで継続されている限定的な空爆だけでは、「イスラム国は態勢を立て直し新たな攻勢に出る」(ヘーゲル長官)との認識がある。「(米国人の)殺害は米国への宣戦布告で、大規模な空爆などが必要だ」(マルコ・ルビオ上院議員)などの声が、勢いを増していることも要因だ。
シリア空爆も選択肢
米軍事専門家は当面とるべき措置として、空爆を拡大しイスラム国の補給源と補給路などを断ち、戦闘員のイラクとシリアの往来を遮断することを提唱する。
シリアでの空爆については、攻撃目標を選定する米軍要員がまだ投入されておらず、イスラム国への攻撃は、米政府が打倒を目指すアサド政権を利するというジレンマも抱えている。このため現時点では、長期戦略における選択肢の一つという性格が強そうだ。
バラク・オバマ大統領(53)は「(軍事介入が)『終わりが見えない展開』となることは、許さない」との原則を堅持している。軍事行動を拡大する場合でも、「有志連合」による作戦とする可能性がある。(ワシントン 青木伸行/SANKEI EXPRESS)