映画よりも、もっと映画的なことが現実に起きるのだと、きっと見る者は認識を改めるに違いない。韓国のパン・ウンジン監督(49)の新作「マルティニークからの祈り」は、身に覚えのない罪で異国の刑務所に投獄された主婦が、韓国で暮らす家族のもとへ戻るまでの765日を描いたドラマで、2004年に起きた実話を忠実に再現した作品だ。事件は06年に韓国で放送されたドキュメンタリー番組で紹介され、ネットユーザーを中心に大きな反響を呼んだ。
収監先は韓国から1万2400キロも離れた、はるか地球の裏側にあるマルティニーク島。カリブ海に浮かぶフランス領のリゾート地だという。プロモーションで来日したパン監督は「言葉すら通じない国で主婦が経験した地獄の日々は、世界のどこかで今でも繰り返されているかもしれません。私はこの映画を通して、海外で不利益を被った同胞への対応によき変化をもたらすことができれば-との願いを込めました」と語り、身近に起こりうる事件であることを強調した。