【メディアと社会】
中国当局によるメディア統制の厳しさが日本ではよく話題になる。最近の例では、四川省遂寧市の地方紙記者が省秘書長の名前を書き間違えたことで内部の批判を受け、それを苦にして自殺したのではないかという報道があった。中国のネット情報では、母親に「もう静かになった方がましだ」という遺書を残し、その遺書の写真も添えられている。
中国では1949年の建国以来、共産党とその指導には誤りがないということを前提に政治が行われてきた。それは、ソビエト共産党のやり方をまねたことと、それだけ厳しくしないと、毛沢東主義が維持できないという事情があったからだ。
外交、民族問題は徹底
だが、現在の中国は今も大枠としてそのやり方を踏襲しているのだろうか。筆者は、71年の「ピンポン外交」に関係して初訪中した。以来、80回ほど訪れてきたが、その間に中国の言論・表現の自由の内実はずいぶんと変わってきた。