中国共産党の大物政治家、周永康氏(71)の失脚が発表された。最高指導部の責任を問わないという長年の不文律が破られ、国内外に衝撃が走った。中国の権力中枢で何が起きたのか検証する。
300人以上を拘束
習近平体制が発足してから1カ月もたっていない2012年12月6日。中国共産党の党紀違反を取り締まる中央規律検査委員会のホームページに、「李春城・四川省党委員会副書記が重大規律違反容疑で取り調べを受けている」という知らせが掲載された。党関係者の間で衝撃が走った。
当時、四川省ナンバー3の李氏が次期河南省長に内定したことは香港メディアで報じられていた。さらに李氏は約3週間前に閉幕した党大会で中央委員候補に選出されたばかりだった。
唐の詩人、杜甫は「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」との詩を残した。中国共産党内の権力抗争でいつも使われる手法でもある。大物政治家を失脚させるのに、まずその周りから粛清し、丸裸にしてから本丸を攻めるやり方だ。「李氏を突破口に、新政権は周永康を狙っている」。そう感じ取った党関係者は少なくなかった。