【国際情勢分析】
貿易や金融、サービス業で大幅な規制緩和を試行する中国初の「自由貿易試験区」(FTZ)が上海で昨年(2013年)9月に誕生して、7月29日で10カ月が経過した。広東省深●(=土へんに川、しんせん)市などで1979年から製造業を誘致した●(=登におおざと)小平(とう・しょうへい)氏(1904~97年)による「経済特区」にならい、習近平指導部が“第2の改革開放”作戦で成長継続を狙ったものだ。
習氏自身も5月23日にFTZを視察し、「ここは大きな試験田だ。良い種をまき、収穫し、種を育てた経験を広めるべきだ」と指示した。上海で試行した成果を各地に広げる意向だ。
ただ、経済団体の上海日本商工クラブが7月28日に開いたFTZに関するシンポジウムでは、「(10カ月を経ても)メリットがまだ実感できない」(在上海米国商会のケネス・ジャレット会長)との不満や、「当初に比べ企業側の期待感が落ちている」(住友商事中国法人の高市公隆・財務経理グループ長)との指摘など厳しい声も相次いだ。