【国際情勢分析】
「中国不動産市場の黄金時代は終わった」。中国の不動産最大手、万科集団の郁亮総裁が先月(5月)、記者会見で述べた一言が注目を集めている。
バブル化が指摘されて久しい中国の不動産市場。需要予測の甘さや建設ありきの経営スタイルが、「鬼城(ゴーストタウン)」と呼ばれる入居者不在のマンション林立という不思議な現象を生んだ。それでも中国の公式統計では住宅価格の右肩上がりが続くことに、誰もが首をかしげていた。上海の不動産仲介業者に聞くと、広さ200平方メートルで500万元(約8200万円)前後の高級マンションが売れ筋という。30年近く中国の不動産ブームをリードしてきた郁氏の発言は、何らかの転換点を意味するのか。
上昇鈍化と厳しい格付け
郁氏発言の背景として、2つの動きが考えられる。まず住宅価格だ。公式統計でもここ数カ月、いよいよ上昇鈍化の兆しが見え始めていた。
中国国家統計局が集計している新築住宅価格指数で、4月は主要70都市のうち8都市の指数が低下した。3月の4都市からみて倍増だった。