日中戦争が始まる前年の1936年に日本の海運会社に船舶を貸し出した中国の船舶会社の親族が未払いの賃貸料などを求めて勝訴した裁判をめぐり、上海市の上海海事法院(裁判所)は4月19日、海運会社の流れをくむ日本の海運大手「商船三井」が所有する貨物船1隻を浙江省舟山市の港で差し押さえた。
上海市当局が20日、発表した。
戦後補償をめぐる裁判で、日本企業の資産が中国側に差し押さえられたのは初めてとみられる。戦時中に日本に強制連行されたと主張する中国人元労働者らの訴えも相次いでおり、被告となった日本企業を揺さぶる狙いがありそうだ。
海事法院に差し押さえられた商船三井の船舶は、中国向けにオーストラリアやブラジルから鉄鉱石を輸送する宝山鋼鉄の専用船「バオスティール・エモーション」(全長約320メートル)。
中国側によると、当時の船舶会社「中威輪船公司」が日本の「大同海運」に船舶2隻を貸し出したが、大同側は用船料を支払わず、船舶はその後、旧日本海軍が使用し、沈没した。