上海では値下げ競争激化
黄金時代の終わりが、地方財政のデフォルト(債務不履行)連鎖という暗黒時代の始まりにならないか。郁氏の発言はそんな不安を生んだ。
中国の不動産情報サービス会社のまとめによると、上海市で5月に成約した分譲住宅の面積は59万5500平方メートルと、前年同月比で34.9%も減少した。前月比でも21.8%の減少。上海の金融機関が不動産関連融資を引き締めたことに加え、売れ残りを懸念した業者の物件値下げ競争も激化しており、市場には様子見ムードが広がっている。
上海市内の住宅に対する民間の購買意欲調査で、回答者の53%が「年内に購入の予定はない」と述べた。また、68%は高騰が続いてきた上海市内の不動産価格が調整局面に入ったとの認識を示している。
中国全土で不動産市況の低迷傾向が見え始めたことに対し、中国住宅・都市農村建設省は6月4日の記者会見で、「多くの不動産関連指標はおおむね正常値。成長率はこれまで非常に高かったが、やや減速した。正常な調整だ」との見解を示した。だが、一部の不動産市場でまだ投機的な動きがあるとして、監視態勢は弱めないとも強調している。(上海 河崎真澄、写真も/SANKEI EXPRESS)