これまでの動きでは、前年同月比で10%を割り込むなど鈍化傾向にあった地方都市の伸び率を、前年同月比15~20%ものハイペースで上昇し続ける北京や上海などの大都市がカバーする格好だった。だが、両市のほか、広東省の広州市や深●(=土へんに川、しんせん)市など好況だった都市でもこの指数の伸び率が毎月、数%ずつ下がり始めている。今年1~3月の不動産開発投資も前年同期比16.8%増と、昨年(2013年)通年の前年比19.8%増を下回った。銀行が不動産向けの融資を渋り始めたことが要因とみられている。
もうひとつの背景は米格付け機関の厳しい評価だ。ムーディーズは先月(5月)、郁氏発言の1週間前、中国の不動産業者への見通しを、従来の「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。住宅販売が今年は著しく伸び悩むとみている。郁氏発言よりも後だが、スタンダード・アンド・プアーズは今月(6月)9日、中国の住宅価格は昨年(2013年)の11.5%上昇から今年は一転して5%下落すると予測した。売れ残り住宅が下落の要因になるという。