この条件が映画制作においてどれほど尋常でないことかは普段僕たちが見ている映画を思い出してみればすぐにわかる。要するに映画をつくるための通常のプロセスが禁じられてしまったのだ。
そして案の定というか実際のところ、この映画を見ることはいささか(かなり)骨が折れる。
人生かけ神と向き合う
確かに本来ならのぞくことが許されない修道士たちの生活や修道院の内部の映像はとても興味深いのだけど、結局のところ「彼らがそこで何をしているのか?」という興味に対する「説明」は観客に与えられない。この映画では通常観客たちを引きつける重要なファクターであるストーリーやシーンとシーンのつながりの脈絡のようなものはほとんど見受けられない。言葉も音楽もなくただ延々と修道院の内部と修道士の生活、そして周辺の景色がスクリーンに映し出される。正直に言ってしまうと僕は最初、この映画の異常なまでにストイックな演出に退屈すら感じていた。