しかし、前半34分、ゴール前に走り込んだバレンシアが、右から流れてきた低いボールに滑り込みながら合わせて遠いサイドに押し込んだ。後半20分には、所属するパチューカ(メキシコ)で一緒にプレーするアジョビ(34)の左FKに頭で合わせて決勝ゴール。ともにタイミングよくマークを外し、点取り屋の本能が存分に生かされたゴールだった。
得点王より勝ちたい
「ここはW杯。本当に幸せだ」と喜びに浸るバレンシアが誰よりも活躍を見せたい人が、尊敬してやまなかったベニテスだ。“チュチョ”の愛称で親しまれ、メキシコリーグや英プレミアリーグで活躍したベニテスは、代表チームの不動の2トップの一角を担い、国際Aマッチ通算24ゴール(エクアドルで歴代3位)をマークした国民的英雄だった。しかし、昨年(2013年)7月29日、移籍したばかりのカタールのアル・ジャイシュの本拠地、ドーハで食事中に心臓発作を起こして急死した。