≪逆境で力 主将・長谷部に命運託す≫
初戦のコートジボワール戦に敗れ、予選突破に「黄色信号」がともった日本代表。「ここでやらなくていつやる」と開き直る30歳の主将・長谷部誠(ニュルンベルク)は逆境に強く、1月に右膝(ひざ)半月板を損傷し、2度の手術と懸命のリハビリで自身2度目の大舞台に間に合わせた。少年時代から勝つまでは一歩も引かず、日本代表ではだれよりも「個」を重視する欧州のサッカーにもまれてきた。この男の静かなリーダーシップが発揮されるのはこれからだ。
「自分たちのサッカーを表現できなかったことが一番悔しい」
チームの精神的支柱、長谷部は敗戦のショックを短い言葉に凝縮させると、次戦のギリシャ戦を見据えた。ザッケローニ監督からの信頼も厚く、主将として「ぶれた軸」を戻す。
その原点は、サッカーどころで知られる静岡県藤枝市にある。物心ついた頃からボールを追っていた。地元の青島東フットボールクラブ(FC)から名門藤枝東高までともにプレーした同級生の渡辺裕之さん(30)が長谷部との思い出を語る。