ISILにはスンニ派主導だった旧フセイン政権関係者も多数協力しているとされ、旧政権時代に虐殺や差別の対象だったクルドとシーア派にとっては「共通の敵」でもある。
その一方で現政権側には、クルドがキルクークの自治区編入を狙っているのではないかとの強い警戒感がある。AP通信によると、マリキ首相に近い国会議員は「キルクークを足がかりに、他の地域ものみ込むつもりだ」と非難した。
クルド自治政府は今年初め、トルコとの間に新設したパイプラインで石油の輸送を開始。すべての石油収入は中央政府が管理すべきだとするマリキ政権と、対立が深まっていた。
クルドは現在、政権側が反攻を進めるイラク中部でISILが放棄した町を掌握するなど、事態収束後をにらんで地歩固めともいえる動きもみせている。政権側が巻き返してISILが後退した場合、政権側との緊張が高まる可能性もある。(エルサレム 大内清/SANKEI EXPRESS)